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学校教育プラン

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    秋田県立視覚支援学校教育プラン

 

                          
Ⅰ 学校の現状と課題 ・ 学校を取り巻く将来の状況の予測
1 学校の現状と課題
 全国の盲学校・視覚支援学校の在籍者数は、昭和34年度がピークで10,264人、平成30年度には2,731人となり、令和4年度は2,288人となっている。本校の在籍者数も、平成28年度以降30名を下回り、減少傾向にある。また、障害の状態は一人一人異なり、他障害との重複も見られる。このことから、個々の教育的ニーズやキャリア発達に即した教育の充実が課題である。
  小学校、中学校、高等学校に在籍する児童生徒への支援については、「サテライト教室」等を通じて弱視特別支援学級を中心に学級担任や保護者等に対して継続的な支援を行っている。また、近年は小学校をはじめとした教育機関での障害理解授業や体験学習等の要請が増加している。早期教育(乳幼児)については「よつば教室」、成人への支援については「あいサポート教室」を実施し、就学相談支援や視覚障害リハビリテーションに係る支 援を提供している。今後もインクルーシブ教育システムの推進、相談対象者の進学、就労等に伴い、更なる連携の拡大・充実が課題となる。
 なお、平成29年度より、本校が事務局となり関係機関と連携して「秋田県版スマートサイト(見えにくい方への支援先紹介リーフレット)」を配付することで、当事者が必要な支援を受けることができる機関に接続しやすくするシステムを運用している。関係機関(医療、労働、福祉、教育等)が連携した取組の発展を目指すとともに、視覚支援学校や ロービジョン支援センターの理解・啓発を一層推進する必要がある。
 
2 学校を取り巻く将来の状況の予測
 全国の視覚支援学校に在籍する幼児児童生徒数は平成27年度に3,000人を割り、10年間で1,000人減少している。これは、人口減少、医学の進歩、視覚補助機器の発達等によるものと推察され、今後も視覚支援学校の在籍者数は減少することが予測される。また、全国の身体障害者手帳を所持する視覚障害者数は約31万人(平成28年:厚 生労働省)、秋田県では2,956人(令和2年:秋田県)と報告されている。その内、60歳以上が86%を占めており、高齢化に伴い中途視覚障害者数が増加することが予想される。これに「本人に自覚がない」「家族が気付かない」などの潜在的な視覚障害者を加えると、その数はさらに多くなると考えられる。社会状況については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第19条に係る問題や、リラクゼーション業 (総務省:日本標準産業分類)の増加による就労の場の変容、障害者雇用の促進などによる視覚障害者の希望する就労先の変化が見られ、その対応が求められている。
 このような状況下、本校は困難を抱える乳幼児から成人までの視覚障害児者を支援し、ADLやQOLの向上を含め、個々の自立と社会参加を支える使命を担っている。
 
Ⅱ 目指す方向性 ・ 学校像や幼児児童生徒の姿
1 教育目標
 視覚に障害のある幼児児童生徒に、その発達段階に応じた教育を行い、障害による困難を改善・克服するために必要な知識、技能を習得し、社会参加に向けて自立できる人間を育成する。
 
2 教育方針
教育目標の実現に向け、明るく楽しく規律ある学校をめざし、地域や関係諸機関と連携した開かれた学校づくりを推進する。また、教職員の専門性の向上に努め、幼児児童生徒の人権を尊重し、次の事項の充実を図る。
○幼児児童生徒の自主的、創造的活動を尊重し、自らを表現する力を育む。
○幼児児童生徒が、豊かな人間性と広い視野をもつための資質を育む。
○幼児児童生徒が、様々な困難を克服し社会参加に向けて、自立する力と感謝する心を育む。 
 
Ⅲ 具体的な目標 ・ 取組 ・ 推進指標
1 少人数や多様な障害状況に対応した教育の充実
〈目標〉
 視知覚の状態など個々の実態を的確に把握し、「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」を適切に作成するとともに、職員が共有・連携して幼児児童生徒の教育的ニーズに即した教育を行い、自立と社会参加を目指すキャリア発達を支える。
〈取組〉
・各教科や教科等を合わせた指導における学習内容の厳選及び知識・技能の定着。
・「P(Plan)の会」「CA(Check-Action)の会」「CA・P(Check-Action・Plan)の会」による複眼的・多角的な実態把握と適切な計画立案・評価、職員間の情報共有(「コアプロブレム(自立活動)」等の活用)。
・基礎的な知識と実践的な施術技術をつなぐ効果的な学習による「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師」の育成。
〈推進指標〉
・「深い学びにつなげるための対話を基盤においた授業づくり」を研究主題に掲げ、主体的・対話的な学びを重視した授業実践とグループ研究を推進し、授業改善を図る。
・「Pの会」「CAの会」「CA・Pの会」を、視能訓練士(CO)や点字指導員、歩行指導員を加えて実施する。
 
2 乳幼児から成人までの視覚障害者への支援の充実
〈目標〉
 視覚支援学校及びロービジョン支援センターの理解啓発を図り、「センター教室」「よつば教室」「サテライト教室」「あいサポート教室」などの切れ目ない支援を通じて、視覚障害児者と家族、関係者が必要とする自立と社会参加を促す。
〈取組〉
・ロービジョン支援センターによる合理的で効果的な相談支援の実施(Eメールやオンラインによるリモート相談支援の導入)。
・視覚障害に配慮が必要な乳幼児及び児童生徒への関係機関と連携した効果的な支援。
・医療、労働、福祉、教育の連携による「秋田県版スマートサイト」の運用。
・本校の教育活動や相談・支援機能に関する効果的な広報による県民の理解啓発と情報提供方法の工夫(HPの定期更新やSNSの導入等)。
〈推進指標〉
・スマートサイト推進委員会の開催(年2回)並びに各関係機関への訪問を実施する。
・眼科医、乳幼児健診担当、保育協議会、障害者相談支援センター等への定期的なリーフレット配付・説明(ローラー的広報)を実施する。 
 
3 視覚障害教育に係る専門性の向上と維持・継承
〈目標〉
 全職員が視覚障害教育に関する専門性の向上と継承に取り組み、幼児児童生徒個々の教育的ニーズに即した教育を計画的かつ継続的に実施する。
〈取組〉
・視覚障害に関するアセスメントや教科学習、自立活動・視覚障害リハビリテーションなどの指導力の向上を目指した研究研修の充実、及び組織としての専門性の継承。 
〈推進指標〉
・職員一人一人の視覚障害教育に関する専門性の「見える化」を図る(専門性の具体的な内容やレベル[習得・習熟度]等についてチェックリスト等を用いて可視化)。
・必要な資質・能力を育む授業改善とICTの効果的な活用を推進する。
・新任者が視覚障害教育の基本的な知識や技術を身に付けるための基礎研修(年20回)や、職員個々の自主企画による自由研修を実施する。
・点字指導員(点字技能士)及び歩行指導員を計画的に育成する(資格取得を含む)。
・教員免許状認定講習等による視覚障害領域の免許状取得を促進する(取得率80%)。
 
4 地域や関係機関との連携の拡大
〈目標〉
 かがやきの丘や上北手地区を始め、秋田県全域において連携拡大を図る。また、社会とつながりのある教育活動を展開することで、幼児児童生徒の自立と社会参加を支えるとともに、視覚障害者への理解啓発を促進する。
〈取組〉
・計画的な交流及び共同学習や社会貢献活動等による学びの場の設定と社会とのつながりの拡大・深化(白杖・点字ブロック理解啓発活動等)。
・就労(実習)の場における視覚障害者への理解促進と新たな職域の開拓。
〈推進指標〉
・小学部から高等部普通科までの全ての学級において、オンライン活用などの間接的な交流を含めた、交流及び共同学習(居住地校交流、教科等の授業等)を実施する。
・多様な進路希望に応じた職場体験、現場実習等を実施する(中学部職場体験を含む)。
・進路学習・現場実習等の協力事業所15か所を維持し、年間3か所を新規開拓する。   

 

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