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クローバー3号(8月27日)

クローバー 第 3 号
秋田県立視覚支援学校
ロービジョン支援センター
令和3年8月27日発行

 

「出会いから学び、学びを通し支える」
教頭 小玉 幸子
東京パラリンピック 2020 の開幕に合わせ、テレビなどで障害者スポーツの話題に触れることが多くなりました。私は、本校に赴任して初めて「サウンドテーブルテニス」や「フロアバレーボール」に打ち込む生徒や職員の姿を見て、そのスピードや力強さ、格好よさに、いたく感激しました。印象的な「出会い」の場面でした。
さて、8月4日に「ちびっこサマースクール」、7日に「サマースクール」を行いました。猛暑の中、校内外の幼児児童生徒や保護者・関係者が参加し、見え方に配慮した体験活動や、視覚支援に係る情報提供と学び合いの場を共にしました。
「ちびっこサマースクール」では、宮城教育大学名誉教授の猪平眞理先生にオンラインで講話と個別相談をしていただきました。「サマースクール」では、障がい者生活支援センターほくとより、泉相談支援専門員においでいただき、福祉サービスの利用等についてお話をうかがいました。活動中、幼児児童生徒の笑顔と歓声があふれ、保護者・関係者のじっくりと聞き入ったり、打ち解けて話し合ったりする姿がありました。見えにくさのある仲間、子どもを育てる親同士の存在、成長・発達の道のりの理解、制度や相談先の情報・・・・。半日の活動を通して様々な出会いがあったように感じます。
年齢や立場に関わらず、人は出会いから感じ取り、学び取るものだと思います。ロービジョン支援センターの乳幼児支援、児童生徒支援、生活情報支援、研修支援の各班で、出会いを通して学び合い、より良い支援を叶える取組を今後も続けてまいりたいと
思います。

 

視覚支援教育における合理的配慮と自立活動の関連について
1 視覚支援教育における合理的配慮例
 見えない・見えにくいことに起因する学習上又は生活上の困難を改善・克服する配慮例としては、(1)環境の調整(座席を前にする、教材や掲示物の明確なコントラスト)や文字
サイズの配慮(拡大文字のプリントを用意)、分かりやすい板書、採光の調整、(2)見えやすい用具や視覚補助具の活用などがあります。(弱視レンズの活用にむけた学習は自立活
動の指導内容として設定されます)
また入試や検定試験では試験時間の延長、点字や拡大文字の使用等が許可の例があります。
2 合理的配慮の考え方
 合理的配慮は一方的に「してもらうもの」でも「してあげるの」でもなく、障害のある方と周囲の人々が「お互いにとって」過ごしやすい環境はどうあるべきかという発想をもっ
た対話から進めるべきものです。まずは、本人や保護者から、必要な配慮に関する意思表明が必要です。これを受けて学校や企業、行政などがどんな配慮ができるか検討し、どんな場面でどんな配慮ができるか、お互いに合意したうえで実施します。
3 合理的配慮と自立活動
 前述の合理的配慮例に示したように、その内容は自立活動とも大きく関連します。また自立活動の目標を設定し指導を進める中で、その児童生徒に適した合理的配慮が見つかるかもしれません。何よりも、提供された合理的配慮や児童生徒が自立活動で身に付けた力を生活や学習の中で主体的に使っていくことが大切です。また自立活動で身に付けた力を発揮することで、それまでの合理的配慮の必要性が変わってくることもあります。こういったことから、合理的配慮・自立活動ともに、「提供しました」「実施しました」で終わらず、定期的に評価し、その内容等について見直しをすることが必要です。当事者・支援する人ともにこれらのことを念頭におき、合理的配慮と自立活動を両輪で進めることがポイントとなると考えます。
(文責:小松和紀)
〈参考〉
クローバー令和2年第7号(秋田県立視覚支援学校)
新・視覚障害教育入門 青柳まゆみ・鳥山由子編著(ジアース教育新社)
合理的配慮等具体例事例データ集(内閣府 web サイト)

 

見えにくさのある子どもの給食指導について
6月30日視覚支援担当者研修会「学習と日常生活の支援について」より
「視覚支援担当者研修会」とは
県内の学校等で、視覚に障害を有する子どもの支援者を対象とし、本校を会場に毎年実施している研修会です。視覚支援の基本について、講義・演習、授業参観、グループ協議等の内容で学んでいただくものです。
今年度の講義・演習のテーマは、午前が「子どもの見え方の評価と自立活動」、午後が「学習と日常生活の支援について」でした。ここでは午後の講義の中から「給食指
導」について取り上げます。
~「給食指導」で心掛けたいこと~
 見えにくさのある子どもの給食指導を担当する場合、子どもたちが、経験上身に付けてきた方法や工夫を尊重しつつ、次のような事柄に留意した指導を心掛けていきます。
(1)食事中の会話で
それぞれの料理が何という名称か、どんな食材が使われているのかなど話題にしていくことで、おかずや食材の知識が広がります。使われている食材が分かることで、スーパーに買い物に行ったり、料理のお手伝いをしたりした際、調理前の食材が調理によってどのように変化するかを知る機会にもなります。
(2)食事中のマナー
見えにくさのある子どものマナー指導では、周りの子どもたちの様子を見て学ぶことが難しいことがあります。口に食べ物を入れながらしゃべらないことや、口の周り
の汚れやテーブル周辺への食べこぼしなどについて、普段から意識して自分で気付くことができるよう指導します。スプーンやはしの持ち方、食器の持ち方、テーブルの拭き方などについても、正しい動作が分かり定着するように指導していきます。
(3)気になる食べ方
見えにくさのある子どもでは、おかずの一点食いをする、皿を持ち上げず犬食いになる、かき込んで食べるといった食事の仕方が見られる場合もあります。視覚的な経験不足に伴い子どもなりに身に付けてきた方法や工夫でもあるため、子どもの心情に配慮しながらも、正しい食べ方が分かるよう指導していきます。
図での表現
:『食事動作』
さまざまな動作や要素からなっている。
身近なものであるからこそ、誰にとっても大切な動作である。
外食や社会に出た時、身に付けた食事動作がそのまま行動に現れる。
(食事・マナー) ・会話 ・食材の知識 ・おかずの知識
(食器具の使い方) ・もって食べる ・フォークや箸の使い方 ・両手の使い方
(食べ方) ・一点食い ・好き嫌いが多い ・箸などによる蝕擦・見て確認
 (文責:藤原規行)

 

パラリンピック競技~視覚障害者編~
 7月21日(火)から8月8日(日)まで「東京オリンピック」が開催され、日本選手団は金メ
ダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個を獲得する大活躍で幕を閉じました。選手たちのがんばりから、たくさんの感動をいただきました。現在はオリンピックに続き、「東京パラリンピック」が開催されています。今回はその中でも、視覚障害者のパラリンピック競技について2つを紹介します。競技について知ることで、観戦がより楽しくなることは間違いないでしょう。もし、選手として新しく競技を始めたり、サポートしたりというきっかけとなればうれしく思います。
【ゴールボール】
◇ルール
1チーム3人でボールを転がすように投げ合いながら、獲得
した得点を競います。試合は攻撃側と守備側のチームに分かれて行い、攻撃側は相手ゴールに向かってボールを投げ、守備側はボールの音や足音を察知して、全身を使ってゴールを守ります。守備側が得点を防ぐと攻撃権が移ります。
◇見どころ(東京パラリンピック日程:8月25日~9月3日)
選手から投げ出される球は、男子選手では時速70kmにもなります。守備側は音だけを頼りにそのボールを瞬時に受け止めます。大きくて重いボールのため、格闘技のような迫力です。お互いの駆け引きや緻密な戦略が重要となる繊細で奥深い競技です。
【5人制サッカー】
◇ルール
全盲のフィールドプレーヤー4人と、晴眼者または弱視者のゴールキーパー1人の合計5人でチームを構成します。フットサルと同じ大きさのコートを使用し、ルールもほぼ同じですが、両サイドにフェンスを設置し、転がると音がするボールを使用する、アイマスクを装着するなど独自のルールにアレンジされています。
◇見どころ(東京パラリンピック日程:8月29日~9月4日)
ボールが見えていないとは思えないようなドリブルや身のこなし、強烈なシュートなど、ダイナミックなプレーが楽しめます。音を頼りにしてボールを追う姿や守備での激しい接触などが見られ、緊張感と興奮を味わえるスポーツです。
(文責:今井 理)
〈引用〉わかる!応援できる!パラスポーツ辞典

 

御相談のお問い合わせは
 秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
 相談支援担当 銭谷寿・坂本由起子・石塚さおり・林栄美子・落合久貴子
 〒010-1409 秋田県秋田市南ケ丘一丁目1番1号
 TEL 018-889-8571
 FAX 018-889-8575
 

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