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クローバー6号(1月29日)

視覚障害者とICT
 今回は、視覚障害を有する方がどのように ICT を活用しているかを紹介します。
ICT とは「Information and Communication Technology」(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略で「情報通信技術」のことです。ICT は情報通信技術を活用したコミュニケーション全般を指し、身近な例ではメールやチャット、SNS やネット通販といったサービスや産業にあたります。ICT は情報処理や通信技術を使って人々の暮らしを豊かにするため、社会の様々な分野に普及しています。視覚障害者にとっても有効なバリアフリーになっています。
●スクリーンリーダーについて
 スクリーンリーダーは、コンピュータの画面読み上げソフトウェアのことで、画面に表示された情報を音声としても聞くことができます。この音声を聞きながら、パソコンを操作することが可能です。Windows に対応するもので無料のものは NVDA、有料のものはJAWS や PC-Talker などがあります。
●自動点訳ソフトについて
 自動点訳ソフトは、点字文書を作成・編集するソフトウェアのことで、漢字仮名混じりの文章を点字に変換することができます。Windows に対応するもので無料のものは IbukiTen(いぶきてん)、有料のものは EXTRA for Windows やブレイルブリッジなどがあります。
●点字ディスプレイについて
 点字ディスプレイはパソコンなどと接続して使用する端末機器です。ピンが上下に動くことで、文字情報を点字として表示するためピンディスプレイとも呼ばれ、指先でその点字を読み取ることができます。ケージーエス株式会社や有限会社エクストラなどから販売されています。 
 見えない方、見えにくい方が ICT を活用する際に便利なソフトや機器について紹介しました。今回紹介したものの他にもたくさんのソフトや機器が日々開発されています。個々の見え方に合わせて ICT を活用し、学習や生活などいろいろな場面で役立てていきましょう。
(文責:下地利秀)
 
役に立つサイトのご紹介
 見えない、見えにくい方が生活する上で、知っていると便利な情報を紹介しているサイトを二つ紹介します。
1 ミルクフ ~見る工夫を見つける身に付ける~
 ミルクフは、見えない人や見えにくい人のための web メディアです。視覚障害者こそ情報が大事だ、という信念の元、テクノロジー、補助具 and 便利グッズ、福祉、レクリエーションなどなど、あらゆるジャンルから自分に合った見る工夫を見つけて、自分がこれいいなと思えるものを身に付けていく。それが障害の壁を少しずつ低くするというコンセプトのサイトです。https://mirukufu.com/
2 視覚障害者お役立ちリンク集―アメディア
 図書、文化、図書関係や視覚障害者文化に関するサイトをまとめて紹介しています。ボランティアサイトや福祉情報、福祉に関連する便利な情報サイト、ショッピング、買い物のできるサイトを紹介しています。http://www.amedia.co.jp/index.html
(文責:目黒司)
 
乳幼児期に大切にしたい「よく見て、聞いて、触って」分かること
 0歳から就学前までの乳幼児期には、一人一人の発達段階に応じた遊びをとおして保有視覚・感覚を最大限に活用し「見ること」「聞くこと」「触ること」の楽しさを味わい意欲を高めることが重要です。このことは、就学後の学習の基礎となる大切な力となるため、十分に育つよう場の設定や教材教具などの工夫が必要です。
 
目でよく見よう
 見やすい環境と楽しい遊びを用意することで、子どもは興味をもってよく見、見てわかるからこそ「もっと見たい」という意欲につながり、よく見て違いに気が付く力が育ちます。必要に応じて、補助具の活用の仕方を学びます。(単眼鏡、拡大読書器、ルーペ、書見台、遮光眼鏡他)
 
手で触ってみよう
 自分の手を自由に使い、関心をもって物に触り、「知る力」を高めます。耳、口、鼻など、目以外の感覚器官も使って、状態や環境をとらえるようにします。
 
元気よく遊ぼう
 外遊び、まねっこ遊び、散歩など、全身を使ってバランスよく使って遊ぶことからも、いろいろなことを感じて身に付けていきます。
☆ 先日、幼児に柿のぬりえを見せたら、それが何であるか分かりませんでした。そこで、木になっている柿を一緒に枝から取る体験をしました。自分で柿を取って、触って食べた(渋いことを知りました!)後には、「柿だ!」と言って張り切って塗り絵に向かいました。それは、塗り残しも全くなく、また、葉の緑に茶色を足したり、枝も書き足したりする等、分かる喜びがあふれるものとなりました。体験することの意味を再認識した一コマでした。
(文責:畑江いづみ)
 
見えにくい方は、こんなことで困っています!
 前号では、本校の弱視職員の見え方と工夫についてお伝えしました。弱視の方の見え方は、人によって違っていて、本は読めるのに周囲の状況が見えず移動に苦心したり、近くは見えないのに遠くの山は見えたり、晴眼者(健常者)から見ると理解しにくいこともあるかもしれません。今号では、日常生活の中で弱視の方が困っていることを、いくつか例を挙げて紹介します。
 
・公共のトイレで、男女の区別がつかない。
 → 入っていく人の雰囲気で判断する。多機能(障害者用)トイレがあれば、そこに入る。コンビニのトイレは、男女共用も多いので助かる。普段よく行くトイレを利用する。
 ※ 意外に多い「トイレ問題」。男女別が分かって入ってからも、「一列に並び空いたところに順に入る場合、どの個室が開いたか分からない」「トイレによって洗浄ボタンが違いどこにあるかが分からず流せない」「手を出せば水が流れるタイプか、蛇口を動かすタイプか」等々、いろいろあります。
 
・スーパーマーケット等で、買いたいものの売り場がわからない。
 → 基本的に、よく行く店は品物の場所を覚えておく。どうしても見つけられないなど、必要な場合はカウンターに行く。
 ※ 入り口の点字ブロック付近にインターフォンを設置しているスーパーもあります。「近くにいる店員さんに聞けばいいのでは」と思うかもしれませんが、従業員か客か区別がつきません。レジやカウンターは、待っている人がいる場合もあり、声をかけづらいことがあります。
 
・スーパーなどで、買いたいものの値札が見えない。
 → ルーペを使う。
 ※ コロナ禍もあり、顔を近づけて確認するのは、これまで以上にはばかられ、スマホの拡大機能は便利ですが、誤解を招くため使えません。ルーペの利用の技術は必須です。
 
・素敵な雰囲気の間接照明のお店は、見えづらくて歩けない。
 → 一緒に行く友人等に手引きしてもらう。
 ※ 見え方によって、明るいところが苦手な人もいます。どちらの場合も、ちょっとした段差等に気付かないことが多いので、手引きか声がけがあると助かります。
 
 様々な工夫で乗り切れることもありますが、ほんの少し手助けしてもらえると、楽にできることもたくさんあります。困っている様子を見かけたら、「お手伝いしましょうか」と声を掛けてください。ちょっとしたことであるがゆえに、お願い(援助依頼)しづらいことがたくさんあります。また、見えづらくなって間もない人ほど、困っていても援助依頼できない場合が多いようです。あなたの勇気が、誰もが生きやすいユニバーサルな社会を創ります。
(文責:佐藤 桂)
 
御相談のお問い合わせは
 秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
 相談支援担当 長崎雪子・坂本由起子・渡部麗子・銭谷寿・佐藤友紀子

 

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