視覚障害者の生活 ~部屋の空間編~
「あれ?リモコンが見当たらない。同じ場所に置いたはずなのに・・・」。視覚障害者は、リモコンの位置を変えたなど些細な変化でも困ってしまうことがあります。しかし、ちょっと工夫することで、互いが過ごしやすい空間にすることができます。
今回は、視覚障害者が過ごしやすい空間を作るための工夫に焦点をあてて、紹介したいと思います。年末の大掃除をする際などに、参考にしてみてはいかがでしょうか。
まず、始めにすべきことはルールを決めること!
ポイント
1.使った物は同じ場所に戻す!
2.勝手に物を動かさない!
3.移動したら必ず伝える!
「例えばその1・・・」
ものの置き場が決められていることで、使いたい物がどこにあるのかが分かりやすくなるだけでなく、整理整頓にもつながります。一見、適当に置いてあるように見えるテーブルの上のリモコンも、見えない、見えにくい人は覚えやすく、使いやすい位置に置いています。家具の配置やものの置き場を変えるときには、分かりやすい場所を相談して、置き場を決めると安心です。
そして、変えた場所をすぐに伝えたり、確認したりすることが大事です。
「例えばその2・・・」
見えない、見えにくい人も慣れた場所では、自由に動くことができます。それは、これまでの感覚で安全だと分かっているからです。しかし、ちょっとした変化で、安全にそして自由に動くことができなくなってしまいます。例えば、部屋をきれいにして、好意で棚やテーブルに花を添えた花瓶を置いたとします。しかし、置いたことを伝えていないと、ないものとして行動するため、ぶつかって倒してしまうことがあります。置いた物や場所を伝えたり、一緒に置いた場所を確認したりすることで回避し、安全に過ごすことができます。
上記の3点のポイントを守ることが、「安全で」「安心で」「快適な暮らし」につながります。ぜひ参考にしてください。
(文責:水谷亨)
視覚障害者のスポーツを知っていますか?
視覚障害者のスポーツは、視覚障害者同士、または視覚障害者と晴眼者が一緒に楽しめるように作られた障害者スポーツです。パラリンピックでは、陸上競技をはじめ、競泳、柔道、自転車、ゴールボール、サッカー、セーリング、馬術、スキーに視覚障害のあるアスリートが出場します。視覚障害者は、音を手がかりにプレーするため、試合中は静かにしているのがエチケットになっています。
ここでは、本校の部活動や体育授業で実施しているサウンドテーブルテニス(STT)とブラインドテニスについて紹介します。
○サウンドテーブルテニス(STT)
盲人用卓球として、昭和初期から行われていた盲人用のスポーツです。ボールは、内部にボールベアリングなどの小さな玉を入れ、転がるときに音が出るようになっています。ラケットはラバーの付いていないものを用い、ネットの下をくぐらせてボールを打ち合います。卓球台の選手側半分には、コの字型に枠が付いていて、ボールが枠に跳ね返ると打った側の得点になりますが、枠を飛び越したり枠の前で下に落ちたりすると、守り側の得点になります。
○ブラインドテニス
1984年日本発祥のスポーツです。埼玉県立特別支援学校塙保己一学園(埼玉県立盲学校)高等部普通科の生徒が発案しました。当初は視覚ハンディキャップテニスと呼ばれていました。音の出るスポンジボールを用います。視覚障害者が行う他の多くの球技とは異なり、地面や床を転がすのではなく、空中を飛んでくるボールを打つ3次元のスポーツです。全盲は3バウンドまでに返球、弱視は視力や視野に応じて1バウンドから3バウンドで返球します。国際ブラインドテニス協会は、ブラインドテニスがパラリンピックの正式種目となるように熱心に活動を続けています。
今回ご紹介した2競技については、それぞれ秋田市で活動しているクラブがあります。興味のある方や参加ご希望の方は、次の事務局までお問い合わせください。
〈秋田県サウンドテーブルテニスクラブ〉
県心身障害者総合福祉センターにて、週3回程度練習を行っています。
TEL:018-845-6332 事務局:佐々木達夫
〈すまいるあきた(ブラインドテニス)〉
県心身障害者総合福祉センターにて、主に日曜日に活動しています。
TEL:090-7792-8299 代表:小松由佳
(文責:今井理)
オススメの一冊!
今回は、視覚障害のある幼児児童生徒と一緒に遊んだり、勉強したりする周りの友達に視覚障害を知ってもらえるような書籍を紹介します。子どもたちが一緒に遊んだり、勉強をしたりする中でどのように関わったらよいのか、周囲の子どもたちが「見えにくいときには、こうしたらいいのかな?」など、友達について考えるきっかけになればと思います。
発達と障害を考える本⑩
ふしぎだね!? 視覚障害のおともだち
監修者 千田耕基
編 者 大倉滋之
発行所 ミネルヴァ書房
この本では、見えない、見えにくい友達が学校生活の中で起こり得る事例を基に、視覚障害がどんな障害かについて分かりやすく紹介しています。
1ページ目には、見えない、見えにくい友達が授業や学校生活の場面でどのようなことに困っているか、何が起きたのかについて書かれています。
2ページ目には、なぜそのようなことが起こったのか原因を説明したり、そのときの周囲の様子を伝えたりする内容が書かれています。見えない、見えにくい友達の状況を理解することができるような知識が書かれています。
3ページ目には、学校でできる工夫を紹介しています。友達のためにどのようにしたらよいかについて書かれており、具体的な対応の仕方を学ぶことができます。
様々な見え方の友達の例があり、友達のことを知るきっかけになると思います。見えない、見えにくいことに関心のある方は、読んでみてはいかがでしょうか。
(文責:藤井 優香)
御相談のお問い合わせは
秋田県立視覚支援学校ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
相談支援担当長崎雪子・渡部麗子・銭谷寿・佐藤友紀子