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クローバー2号(7月7日)

見えにくくなって困っていませんか? ロービジョン支援センター長 菊地雄平
 目にはいろいろな働きがあります。「視覚」というと、「視力」をイメージする方も多いと思いますが、光の明暗、色彩、形、奥行き、運動などを弁別したり、識別したりする感覚も含みます。また、人がものをよく見るためには、見たいところに目を動かす調節力や視野も大きく関連します。
 視覚に障害があるということは、このいずれかの機能に課題がある場合や、視力と視野の両方または複数の機能に課題があり、日常生活や就労などでなんらかの支障をきたしている状態を示します。こうした支障は、目そのものの病気が原因であるだけでなく、脳や内科的な病気のために起きることもよくあります。
 例えば、視野の問題では、視野全体が狭くなったり、中心部分が見えなくなったり、逆に中心部分しか見えなくなったりする場合もあります。また、片側半分が見えなくなったりすることもあります。さらに、視力そのものには大きな問題がなくても、明るいと見えにくいことや、夕方や薄暗い場所で見えにくくなったり、見ようとするものが歪んで見えたりするなどの症状もあります。
 このような複雑な症状であることから、自分の視覚の状態を他の人にうまく伝えられないという実情があります。その結果、自分一人で問題を抱えてしまい、家庭や職場の中で孤立感を感じている方が実はとても多いのです。
このようなときには、ぜひご相談ください。
・ 本や新聞を読みたいけど、何かいい方法はないのかな。
・ 家事や趣味がうまくできなくなってきて、気持ちが沈みがちです。
・ 見えにくくなって、外に一人で出かけることができなくなってきました。
・ 見えにくくなってきて、このまま仕事を続けられるか心配です。
・ パソコンの操作が難しくなってきました。
・ 子どもの視力が低く、小学校での学校生活が心配です。
・ 外に出ると光がまぶしくて、車の運転や歩くのに不安を感じてきました。
ロービジョン支援センターでは、乳幼児から成人の方に、県内の専門機関と連携して、見えにくさと視機能に関する教育相談や生活・学習支援を行っています。どこに相談したらいいか迷った場合は一人で悩まずに、まずはロービジョン支援センターに御連絡ください。
参照:「秋田県版スマートサイト」リーフレットより

 

視覚障害擬似体験 ~秋大講義の様子から~
 満開だった桜の花も散り始め、春の儚さを感じながら、今年も秋田大学教育文化学部のインクルーシブ教育の講義にお邪魔させていただき、視覚障害についての理解授業を実施しました。今回は、「視覚障害のいろいろな見え方」をテーマにして、視覚障害擬似体験や、ワークショップを行いました。
 視覚障害擬似体験では、見えなくてもできること、見えないと困難なことを体験してもらうために、アイマスクを装着して、文字を書いたり、指示に従って体を動かしたりする活動を行いました。
 ワークショップでは、見えないことだけが視覚障害ではないこと、多様な見え方があることを知ってもらうため、日常生活の一場面を取り上げ、視野を狭くした映像を見ながら、いろいろな状況をイメージし、考えてもらう活動を行いました。擬似体験やワークショップにおいて、学生の皆さんと意見交換する中で、「意外と見えなくても綺麗に文字が書けました。」「一概に視覚障害といっても、いろいろな見え方があることを知ることができました。」「白杖の意味や使い方がわかりました。」など、たくさんの感想を聞くことができました。
 時間が過ぎるのがあっという間で、視覚障害について十分に伝えることができたのか、少し不安はありましたが、学生のみなさんからたくさんの感想をいただき、その感想にとても励まされました。
 理解授業でどんなことを伝えていけばいいのか、どのような内容を取り上げればいいのか、今後とも、みなさんから意見をいただきながら続けていきたいと思います。(河嶋 真)

 

視覚支援担当者研修会
 県内小学校5名、中学校2名、特別支援学校1名、保育園1名、計9名の弱視特別支援学級を担当される先生や、弱視の子どもへの教育・保育をされている方たちの参加で視覚支援担当者研修会を開催しました。
 開会行事に続き、午前中は本校教諭 佐藤加奈子、視能訓練士 田中敦子による講義とワークショップ「教育的視機能評価と自立活動」を行い、終了後に小学部、中学部の授業を参観しました。
 午後は、センター教室の様子を参観したり、児童に視機能評価を行ったりしました。参加者からは「近距離視力、最大視認力の測定を実際に行えて、とても参考になった。」という感想が多く聞かれました。研修の最後は、グループ協議、情報交換を行いました。午前中の講義、視機能評価の実際の様子を受けての質疑応答や各校の情報交換などをして盛会の下に会を終えることができました。(畠山尚子)

 

「教育的視機能評価と自立活動」の講義より
 講義では、子どもたちの実態把握の方法や自立活動についての例を紹介しました。お伝えした内容は次のとおりです。
(1)「子どもがどう見えているか」は、誰にも分からない。
(2)そのため、いろいろな方法で観察を行い、予想することが必要になる。
(3)予想するための方法の一例として次のものがある。
① 子どもがどんな場面で、どの距離から、どのような大きさ・色・形のものを見付けているか観察し、実態をまとめる(特に乳幼児に有効)。
② 最大視認力(見やすい距離で見える一番小さい指標を明らかにすること)を測定し、「がんばれば見える文字の大きさ」と「楽に読める文字の大きさ」の予測を立てる。
③ 小学校高学年~中学生は、読書スピードが大きく学習効率に関わってくる。最大視認力を参考に数種類の文字の大きさで読書スピードを計測し学習に使用する文字の大きさを決める。
子どもの年齢や実態により、上記の例は当てはまらない場合もありますが、特に小・中学生は学習効率を考えることが重要です。また、自立活動の内容を考える上で、「自ら進んで情報を得る力」という観点はどの子どもにも必要だと考えています。
今後も県内の視覚支援教育に携わる先生方と情報を共有しながら見えない・見えにくい児童生徒への支援にあたりたいと思います。 (佐藤加奈子)

 

盲導犬について
視覚支援学校が「かがやきの丘」に移転して、早いものでもう8年目になります。その間、私は、雨にも負けず、風にも負けずに盲導犬の「サブ」のサポートを受けながら視覚支援学校に通勤してきました。「サブ」は北海道盲導犬協会生まれのラブラドールレトリバーの雄10歳です。人間の年齢に換算すると50歳の半ばぐらいになります。
全国で活躍している盲導犬は現在、約1000頭。そのうち秋田県にいる盲導犬が14頭です。「サブ」がユーザー(使用者)をサポートできる年齢は12歳までです。ですから、後2年で引退になります。「サブ」は私の所に2歳の時に来てくれましたが、今までにいろんな思い出ができました。楽しかったこと嬉しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと数えればきりがありませんが、いつもどんな時にも不平不満一つも言わず、私の傍にただじっとしていてくれました。
 さて、盲導犬の仕事は、おおよそ5つあります。
① ユーザーと一緒にまっすぐ歩く
② 交差点で止まる
③ 物をよける
④ 物を探す
⑤ 不服従の服従(ユーザーが危険な場面に遭遇しそうな時はユーザーの指示に従わない)
 盲導犬に場所だけ伝えてもカーナビのように案内はできません。あくまでもユーザーからの歩行中の「OK」「まっすぐ」「右」「左」等という指示に従って、目的地に行きます。
 もし、町中で盲導犬を見たら、皆さんには4つのことを守ってほしいと思います。仕事中は ①餌を与えないこと ②声をかけないこと ③触らないこと ④視線を合わせないこと
 盲導犬のことで御質問がありましたら視覚支援学校まで御連絡してください。 (佐藤均)

 

御相談のお問い合わせは秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへ御連絡ください。
相談支援担当 菊地雄平・長崎雪子・渡部麗子・佐藤加奈子・佐藤友紀子
 

本文はここまで

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