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クローバー1号(6月2日)

「県民の皆様に理解され信頼される学校をめざして」 校長 五十嵐 昌司
  本校は今年度、「秋田県立視覚支援学校」としては2年目、明治45年(1912年)の開校からは106年目を迎えました。県内の視覚に障害のある乳幼児から児童生徒及び成人の方とその家族、関係機関等に対する支援を全校体制で進める「ロービジョン支援センター」は開設から6年目になります。 
 昨年度も本センターでは、幼児から小・中・高生、成人まで、様々な年齢層の方々の相談支援に当たり、その件数は前年と比べて3割以上増えました。また、高等学校特別支援隊を通じて県内高等学校3校へ出向いて巡回相談を行うなど、支援の輪が広がってきています。加えて、小・中学校、高等学校、大学へ本校教員が9校延べ10回にわたって訪問し、視覚障害や福祉に関して体験的に学ぶ授業の講師を務めるなど、理解啓発活動にも力を入れています。  
 今年度の新たな取り組みとしては次の二点が挙げられます。遠方のため本校に来校しての相談が難しい方に対する支援のベースキャンプとして、県北地区や県南地区に設置してきたサテライト教室を、新たに由利本荘・にかほ地域にも開設しました。また、秋田県眼科医会をはじめとする医療、教育、福祉、労働等の関係機関の連携の下、視覚に障害のある方々に役立つ情報を提供する「秋田県版スマートサイト」のリーフレットの配付と運用を開始します。様々な工夫を加えながら、これまでに芽生えたつながりを広げ深めていくことを通して、視覚に障害のある方々の生活や教育の充実を共に推進していきたいと思います。 
 今年度も、フットワーク、チームワーク、ネットワークを大切にしながら、県民の皆様に理解され信頼される学校を目指して精一杯取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

リーフレット「秋田県版スマートサイト」の運用開始
 視覚に障害のある方は、全国に約31万います。しかし、この数字は、あくまで身体障害者手帳の保有者数であり、ロービジョンの方の実数はもっと多いと考えられます。
アメリカの視覚障害の基準では、視力が0.5から0.1の方はロービジョン、視力が0.1未満の方は社会的失明とみなされます。この基準で、日本の視覚に障害がある方の数を推計すると、約164万人となるそうです。
秋田県では、身体障害者手帳を保有する視覚に障害のある方は3,100人を超えますが、見えにくさで困り感をもっている方は、もっと多いと考えます。

 米国では2005年に、アメリカ眼科学会が、Smart SightTM (スマートサイト)というロービジョンケア推進プロジェクトを始めました。その中で、ロービジョンケアについて記載されたパンフレットが作成され、このパンフレットを眼科医が視覚に障害をもった患者に渡す活動を行っています。このパンフレットには、生活に役立つヒント、ロービジョンケア施設などが記載されています。
日本には、2007年に紹介され、都道府県単位で、視覚障害に関わる施設、団体等のネットワークとして広がりつつあり、その地域にある視覚障害リハビリテーションの資源と連携し地域に適したシステムを構築しています。

 秋田県にも障害を持った方が相談をしたり、支援を受けたりする機関や施設があります。しかし、新たに視覚障害になった方が、相談・支援先の情報を手に入れ、社会的資源を活用し、社会参加や社会復帰につなげるまでの流れは、必ずしもスムーズではありませんでした。そこで見えない見えにくい方への支援システムの構築を目指し、医療、福祉、労働、教育、当事者団体、ボランティア団体等の関係機関で「秋田県スマートサイト推進委員会」を設立しました。この中で、「視覚に障害を持った方が、相談が受けられる機関や施設を紹介するリーフレット」を作成しました。
今年の4月から、県内の眼科医が相談を必要とする患者さんに「リーフレット」を手渡し、どこに相談に行くと良いのかをアドバイスする取り組みが始まりました。

 

ロービジョン支援センター ~各班ごとの取り組み~
●地域支援部門
<研修支援班>
 研修支援班は、視覚に障害のある方を支援するご家族、学校や地域社会に対して、関係機関等と連携を図りながら地域支援に取り組みます。具体的には、小学校や中学校等の先生を対象とした視覚支援担当者研修会やボランティア養成講座などを企画し開催します。また、小中学校の道徳や総合的な学習の時間における福祉教育への協力、各種研修会等への講師派遣等を行います。
<広報班>
 視覚に障害のある方やそのご家族に対しての相談支援においては、支援に携わる方や関係機関と相互連携を図っていくことが大切と考えます。そこでネットワーク構築の一つとして、ロービジョン支援センター報「クローバー」の発行と学校ホームページにて視覚支援情報を発信していきます。教育相談の様子、視覚支援機器等の情報書籍の紹介など相談、支援をする上で参考となる情報の掲載に努めていきますのでご活用下さい。

●教育相談部門
<乳幼児支援班>
 見え方が気になる0歳から就学前までのお子さんとご家族に向けて、子育てや発達に関する相談支援を行っています。乳幼児期の視覚は「しっかり見ること」で発達しますので、早期からの適切な働きかけと支援が大切です。生活や遊びの場面における見え方チェック、見えにくさに配慮した遊びの紹介、養育や生活へのアドバイス、就学や将来のことに対する情報提供を行います。また、必要に応じて定期相談(よつば教室)も行っています。幼稚園や保育園等の関係機関とも連携しながら相談支援にあたります。
<児童生徒支援班>
 県内の小・中学校等に在籍する児童生徒の皆さんや担任の先生を対象として、視覚補助具の使い方や目と手の協応動作、見ることを大切にした学習の工夫など、視覚に関する様々な相談や学習への支援を行っています。「センター教室」では県央地区を、「サテライト教室」では県北、県南地区の指導や支援を行います。長期休業中には「サマースクール」や「ウインタースクール」を開催し、児童生徒の交流を目的とした学習会や保護者や関係者の方々を対象とした学習会も予定しています。
<生活情報支援班 ~あいサポート教室~>
 視覚に障害のある成人の方に対する相談・支援活動を行っています。視覚支援や情報提供を行う「あいサポート教室」は火曜日と木曜日に開講しており、「音声パソコンやプレクストークなどの情報機器の基本操作」、「白杖や手引きによる歩行訓練」、「見え方相談」「便利グッズや電子レンジを使った調理等日常生活動作」などについて学ぶことができます。また、受講生同士が交流する機会として、あいサポート教室合同講座も実施しています。今年度は、茶道体験やお菓子作りを企画しています。

 

研修支援班 ~今年度前期の研修会、講習会、体験学習のご紹介~
●視覚支援担当者研修会
期日 平成29年 5月31日(水) 
 弱視特別支援学級を担当される先生や、弱視の子どもへの保育や支援をする方たちを対象とした研修会です。子どもの眼の病気、見え方、教室環境の整備、指導や支援の工夫等について、協議したり、情報交換をしたりする研修会です。
       
●見えない・見えにくい方のための白杖歩行・生活サポート講習会 
期日 平成29年 6月17日(土)
 視覚に障害のある方やご家族を対象とした講習会です。秋田山王ライオンズクラブと共催で行い、白杖を使った歩行の基礎について練習したり、調理や洗濯など日常生活の工夫について学んだりする講習会です。スマート電子白杖の体験もできます。

●第13回 サマースクール 
期日 平成29年 7月29日(土)                
 本校の児童生徒やセンター教室、サテライト教室を利用しているお子さんや保護者の方の学びの場、交流の場として開催しています。視覚支援学校ならではの体験学習もあります。多数の参加をお待ちしております。

●ちびっこサマースクール
期日 平成29年 8月2日(水)
 乳幼児から就学前のお子さんとその保護者を対象に実施しています。幼稚部、よつば教室、教育相談を利用しているお子さんが、様々な感覚を使う楽しさを味わう活動や、保護者や関係機関の方々を対象とした、懇談会や学習会を開催する予定です。

●体験学習 
期間 平成29年 5月~11月 
 視覚障害についてもっと知りたい、点字や盲導犬について知りたいという方を対象に視覚障害疑似体験や点字体験など、体験活動を通した学習を実施しています。学級や団体での申し込みにも対応しています。

 

御相談のお問い合わせは秋田県立視覚支援学校 ロービジョン支援センターへ御連絡ください。 
相談支援担当  菊地雄平・長崎雪子・渡部麗子・佐藤加奈子・佐藤友紀子
 

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