【補聴器】

Q8 人工内耳とはどのようなものですか。



人工内耳(じんこうないじ)とは,聴覚障害者の内耳の蝸牛に電極機器を接触させ,聴覚を補助する器具です。人工内耳には音声分析装置,聴覚神経を刺激する電極,電波送信・受信機があります(図1)。人工内耳は通常,どちらか片方の耳につけます。埋め込み手術をした後,音に慣れるために1〜2か月ぐらいのリハビリが必要になります。マイクロホンが外の音声をとらえ,体外にある音声分析装置で音を電気信号に変換します。電気信号は,非接触で内耳にある電極へ送られ,電極が聴覚神経を刺激します。蝸牛は部位による周波数特異性をもつので,電極は複数個埋め込みます。どの電極をどの程度刺激するかは音声分析装置の中のプロセッサが決定します。電極の数には限界があり,プロセッサのプログラミングにも限界があるので,蝸牛本来の信号は得られないわけですが,現状でも成功例では、かなりの程度会話を聞き取ることができるようになります。人工内耳をつけても,100%聞こえるようにはなりません。一般的に90〜100dB以上の音が,40〜50dBぐらいの聞こえ方になります。中には劇的に聞こえるようになる人もいれば,あまり効果がなく外してしまう人もいます。人工内耳をつけた後でも,水泳や入浴は可能ですが,スキューバダイビングや頭部に衝撃を与えるスポーツ(ボクシングなど)は不可となっています。聴覚を取り戻したい思いが強い人にとっては,有効な技術です。健康保険も適用されますが,体内に機具を埋め込む事に対して抵抗を持つ人もいます。



参考資料
「難聴児童生徒への聞こえの支援〜補聴器・人工内耳を使っている児童のために」財団法人 日本学校保健会「Coclear Implant〜人工内耳について」http://pent.med.kyushu-u.ac.jp/naiji.html

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