【コミュニケーション】


2 聞こえない人とのコミュニケーションのコツ

聴覚障害者のコミュニケーション方法は人それぞれの特徴があり,障害の程度や内容によっても違う。多くの聴覚障害者は,手話や口話,筆記,ときには音声といったコミュニケーション手段をいろいろな場面や相手に応じて使い分けたり,併用したりすることにより,総合的にコミュニケーションを行っている。

聴覚障害者とのコミュニケーションでは,自分ができる様々な手段を用いて通じ合う方法を工夫することが基本である。そして,一番大切なことは,相手に伝えよう,相手の言うことを理解しようとする「姿勢」である。

1 相手と顔を見合わせる。
聴覚障害者は「聴覚」の代わりに「視覚」を活用して話をする。必ず相手の視線を捉えて話すこと。相手の視野からはずれてしまうと話ができない。口形がはっきり見えるようにする。暗い所ではよく見えず,逆光になるとまぶしくて見づらくなる。

2 表情をつける。
聴覚障害者は、表情も併せて見ている。その時の会話内容に合わせた表情をつけること。分かった時のうなずきや,分からない時の表情がないと通じているのか,いないのかが分からなくて不安になる。

3 口形も一緒に付ける。
聴覚障害者の中には,手話を見る時に口形も見て判断する人も多いので,口を閉じたままでなく口形も一緒に付ける。例えば,「春」と「暖かい」や「秋」と「涼しい」は同じ手話になる。

4 指文字はゆっくり,はっきり表す。

指文字を練習している間は,ついスピードを求めがちだが,あまり早いと読み取れない。また,早く表すことにより,一つ一つの形がくずれてしまう。相手が読み取れるように,ゆっくり,はっきり表す。聴覚障害者の中には,指文字を使わない人がいることも理解すること。

5 数字の手話表現は,間違えやすいので筆談もまじえる。

位が大きくなればなるほど間違いやすい。正確を期するためにも,手話で表すだけでなく,紙に書いてお互いに確認するようにする。

6 話の内容が通じているかどうか確認しながら話す。

健聴者同士でも,話の取り違えはよくある。相手の表情をよくみて,話が正しく通じているかどうか確認しながら話すこと。

7 話が分からなかった時には,必ず聞き返す。

黙っていると相手は分かっているものと思い,話がどんどん進んでしまう。分からなかった時には,はっきり「分からない」と意思表示をして,もう一度話てもらうこと。分かったふりをして大きな誤解をまねかないように気をつける。

8 実物や模型なども利用する。
必要書類の提出や,何かを持ってきてもらう時,また,仕事の説明をする時など,実物を見てもらうと分かりやすくなる。絵を描いて説明する方法もある。

参考資料

聴覚障害サポートハンドブック・乳幼児編
『「お子さんの耳がきこえない」と言われたら』 全国早期支援研究協議会

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